りんメディアディレクター
カクテルパーティー効果とは?|ビジネス・恋愛・ブログへの応用術
自分と同じ苗字や名前に、無意識に反応してしまうことありませんか?
その時あなたには、カクテルパーティー効果という心理効果が働いています。
名称だけ見ると、凄く楽しそうなこの効果。
実はこれが、私たちの「情報を聞き分ける能力」なんです。
今回は、カクテルパーティー効果について例や実験から解説。
脳を鍛える「脳トレ」の方法や、ビジネス・マーケティング・恋愛・ブログへの応用術まで徹底的にお話しちゃいます。
私自身も使っている「聞き分け」を使った応用術、必見です。
この記事の監修者
ドム(工藤逸世)SEOコンサル&WPテーマ開発
㈱Woo代表。WordPressを魔改造してSEO戦争する人です。 WordPressプラグイン・テーマ「unify」開発者。 中央大学卒。元WEB系エンジニアでCMSやECサイト開発等をしてました。 2018年10月頃にブログ運営を開始。2020年独立し、2021年法人化。
カクテルパーティー効果とは
カクテルパーティー効果【cocktail party effect】
多人数の談笑している会合の中で,周辺の雑音レベルがかなり高いのにもかかわらず,自分の相手としている人の声はきちんと聞き取れる現象.
カクテルパーティー効果とは、自分に関係があることは無意識に聞こうとする効果のこと。
カクテルパーティーのような賑やかな場所でも音の聞き分けができることから、この名前となりました。
複数の情報の中から選択的に注意を向ける「選択的注意」の一つです。
例えば次のような経験をした事ある方は多いのではないでしょうか?
例えば、あなたの苗字が「田中」だとします。
とても賑わいのある場所で、「田中さん!」と呼ばれて振り向きました。
しかし、振り向いた先にいるのは全く知らない人。
あなたは別の人に向けられた「田中さん」に、無意識に反応してしまいました。
これは、自分に関係のあることだから反応してしまうんです。
カクテルパーティーのように、たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができる。このように、人間は音を処理して必要な情報だけを再構築していると考えられる。
自分に関係のある必要な情報を音の中から選んでいるんです。
カクテルパーティー効果の実験
漢字の「聞く」と「聴く」には、違いがあるのをご存知ですか?
耳に音が入ることは同じでも、人の意識によって少し意味が変わるんです。
- 聞く:音や声が自然に耳に入ってくること
- 聴く:耳に入ってくる音を理解・認識しようとすること。
カクテルパーティー効果は、この2つの「きく」の違いを使った効果と言えます。
では、どんな時に人の「きく」意識が変わるのでしょうか。
違いが分かりやすい、2つの実験をご紹介しましょう。
ヘッドフォンを使った実験
カクテルパーティー効果を提唱した、イギリスの認知心理学者エドワード・コリン・チェリー(Edward Colin Cherry)による実験です。
ヘッドフォンを使った実験
- 被験者にヘッドフォンを着けてもらう。
- 左右の耳に異なる音声を同時に流し、「片方の音声だけ聴き取る」ように指示をする。
- 聴き取りをしていない方の耳に、被験者の名前を流す。
実験の結果、1の時点では、片方の音声だけに集中し、もう片方の音声は聴き取れない被験者が大半でした。
しかし3で名前を流すと、聴き取るように指示された耳とは逆の耳に、被験者の意識が移ったんです。
この実験により、以下の3つのことが実証されました。
- 人は、自分が意識を向けた音を集中して聴き取る。
- 自分に関係があること(興味の対象)には意識が向きやすい。
- 自分が意識を向けていない音は自然に除外される。
英文ではありますが、コリン・チェリーが発表した論文に詳しく書かれています。
名前を使った実験
このカクテルパーティー効果を、対人関係にも使えないかと考えた人物がいます。
アメリカの心理学者、クリス・クラインケ(Chris L. Kleinke)です。
クラインケは、男女をペアにし次のような実験を行いました。
名前を使った実験
男女のペアを2つのグループに分けて実験を行う。
- グループ1:15分間自由に会話をしてもらう
- グループ2:15分間の会話の中で、相手の名前を意識的に何度も呼んでもらう。
文献:「Meeting and Understanding People」クリス・クラインケ(Chris L. Kleinke)著
この実験の結果、自分の名前をたくさん呼ばれたグループ2のほうが、相手に対して好印象を持ちやすくなりました。
例えばこれを、グループ分けが無い複数人の会話にした場合、名前を呼んでくれた異性ばかりに意識が向くんです。
つまりカクテルパーティー効果を使えば、相手の印象を変えることもできちゃうということです。
対人関係が大事なビジネスや、恋愛にも応用できそうです。
以下で、その応用方法についてもしっかりご紹介していきます。
カクテルパーティー効果が起こる原因
なぜ私たちは、賑やかな場所や複数の音の中でも聞き分けができるのでしょうか。
これには、2つの要因が考えられます。
- 音の発生源や周波数が関わっている
- 脳がキャパオーバーしないように取捨選択をしている
①音の発生源や周波数が関わっている
例えば、テレビの音が聞こえづらい時、音量を上げますよね。
声が遠い場合は、相手に近づいたほうが聞こえます。
このように音源の大きさや位置は、私たちの「聞こえ」にとって重要です。
また、聞き分けができるのは、音によって周波数が異なるためでもあります。
動物や虫にしか聞こえない音もあると言うほど。
この周波数の差があることで、私たちは「○○から出ている音」と認識ができるんです。
逆に、この周波数に差が無いと、聞き分けは難しくなります。
例えば、こんな時。
友だちの実家に電話。
「はい田中です」と言われただけでは、誰が電話に出たか分からなかった。 |
家族で声が似ているパターン、多いですよね。
これは、家族同士で声の周波数が近いためであると考えられます。
②脳がキャパオーバーしないように取捨選択をしている
耳に入りうる音を全て拾うと、脳は情報を処理しきれずキャパオーバーを起こしてしまいます。
例えば、先程の田中さんへの電話を、ある駅から掛けていた場合だと…
|
駅で聞こえてくる全ての音を拾ってしまうと、電話などできなくなってしまいます。
人は、必要な情報だけを脳に伝えるため、選択的注意によって情報の処理をしているんです。
カクテルパーティー効果が起こるのは、発生源や周波数によって音を聞き分け、取捨選択をしているからなんですね。
カクテルパーティー効果の例
カクテルパーティー効果は、日常のどんなことに影響しているでしょうか。
様々なパターンから見ていくと、この効果の本質が分かります。
地獄耳
ひそひそと小声で話しているはずなのに、なぜか聞こえている…いわゆる「地獄耳」と呼ばれる現象。
これは、小声だから逆に気になってしまう現象であると言えます。
日常で普通に会話をする時って、わざわざ小声では話しませんよね。
だからこそ、ひそひそ話をしている姿を見ると、『なにか特別な話?』『内緒の話?』と、逆に興味が湧くんです。
また、ネガティブな感情を持っている人も地獄耳になりやすいと言われています。
『自分のことを話しているのではないか』と、普段より注意深く音を聴くためです。
つまり、ひそひそ話が気になる→カクテルパーティー効果が起こる→地獄耳になる、という流れ。
ひそひそ話は人前でしないのが1番かもしれませんね。
音楽
好きなアーティストやバンドの曲って、パートごとに全く違うメロディーを弾いていますよね。
でも、例えばベースの人が好きな場合、その音ばかりを追える人は多いでしょう。
好きだからこそ音に集中し、聞き分けようとするんです。
逆に、特に興味の対象ではなければ、人は音楽を聞き流します。
例えば、カフェなどの店内に曲が流れている場合、多くの人はその音楽を「BGM」とし、会話や作業などに集中します。
しかしそのBGMの中で大好きな曲が流れたら、気持ちが反応しちゃう人がほとんどです。
カクテルパーティー効果は人の興味や集中によっても変わってくるんですね。
カクテルパーティー効果の応用術
これまでお話してきたカクテルパーティー効果、実は脳を鍛えるのに最適なんです。
ここからは、カクテルパーティー効果を使った脳トレの方法や、ビジネス・マーケティング・恋愛・ブログに応用する方法をご紹介。
カクテルパーティー効果を上手く使えば、相手の意識を自分に向けることもできますよ。
脳を鍛えるには
カクテルパーティー効果は無意識に起こるものです。
しかし、意識的に自分に起こすことで集中力や情報処理能力が高まります。
①音楽を使った脳トレ
先程お話した「曲のパートごとの聞き分け」、結構脳や耳を鍛えられるんです。
例えば吹奏楽やオーケストラなど、楽器のパート数が多いほど聞き分けは難しく、より音に集中しようとします。
また、歌詞のある曲ほどそこに引っ張られてしまいがちですが、あえて演奏に意識を向けるのも効果的。
特定の楽器だけを追うことで、集中力を高められますよ。
②賑やかな場所での脳トレ
複数の音や会話がある場所で、特定の人の言葉を拾ってみましょう。
例えば、駅やファミリーレストランなど。
ざわついた場所ほど、脳トレには最適。
情報処理をする力が付きます。
(ただし、相手に不信感を与えないように、じろじろ見るとかはNGです。)
日常的にカクテルパーティー効果を意識して鍛えていれば、特定の音を拾えるようになります。
それが、集中力や情報処理能力が高まった証拠。
勉強や仕事の前に、このトレーニングをするのも◎ですね。
ビジネス・マーケティングに使うには
カクテルパーティー効果をビジネス・マーケティングに使うには、以下の2つが重要。
- ターゲット(顧客)を絞る
- 顧客が反応しそうなワードを出す
これができれば、営業や集客に大きく差が付きます。
例えば、顧客が「新商品」を探している場合。
ただ「どうぞご覧ください」と声を掛けるだけでなく、「こちらに新商品も取り揃えておりますので、ぜひご覧ください」と紹介した方が親切ですよね。
たとえ新商品を探していなくても、『ちょっと見てみようかな』という意識にはなります。
このように、顧客の意識が何に向くのか、時期や商品に合わせた紹介が必要です。
またwebマーケティングなど視覚に宣伝する媒体では、顧客が反応しそうなキーワードを散りばめると◎。
特にwebでは、宣伝した時期と顧客の目に止まる時期がズレる可能性もあり、上記のように「新商品」では情報として古くなってしまうかもしれません。
「OFF」「無料」「セール」など、時期に関係なく顧客が反応するワードと絡めた宣伝をするといいでしょう。
ただし、多用しすぎると特別感が無くなるため、使う頻度やタイミングは考える必要があります。
顧客が自社の製品やサービスに何を求めているのか。
「自社ならではの宣伝キーワード」を見つけることです。
恋愛に使うには
カクテルパーティーを恋愛に使うには、意識的に相手の名前を呼ぶのが効果的。
ただ「素敵」と言われるより、「田中さん、素敵」と言われた方が特別感ありますよね。
しつこくならないよう、あくまでも適度に、さりげなく。
相手を褒める時などに使うとタイミング的に良いでしょう。
また相手の趣味や興味が分かっていれば、関連するワードで引き付けることも可能。
例えばスケートボードが趣味の人なら、「冬」や「雪」も好きだろうと予測できますよね。
相手の好きなことからワードを拾うと相手は反応しやすく、印象に残りやすい会話になるでしょう。
ワードが決まると、「○○と言えば○○」というように、次の会話も広がります。
(マジカルバナナや山手線ゲームを意識すると分かりやすいかもしれません)
ブログに使うには
ブログ記事を読んでいると、流し読みをしていても、不意に手が止まる時ってありませんか?
カクテルパーティー効果を上手く使えば、この現象を狙って起こすこともできるんです。
それには、読者が誰か(=ペルソナ)を決めておく必要があります。
文章でもカクテルパーティー効果は発生しますが、 webマーケティングと同じように視覚媒体であるため、ターゲットを絞った宣伝が必要です。
例えば当ブログは、ブログやアフィリエイトに関わる人がペルソナとなっています。
そのため内容としては、ブログに関連する内容のみを記載するようにしているんです。
SEOコンサル&WPテーマ開発
ドム(工藤逸世)のコメント
りんさんが解説してきたカクテルパーティー効果は、僕のツイートでもまとめています。
【ブログで使える心理学:カクテルパーティー効果】
— ドム@SEOとWEB開発 (@domblog_jp) March 8, 2021
記事を読み飛ばしてて、
関係ない時に手が止まる時あるよね😃
上手く使えば、それを狙って起こせるね。#ブログ初心者 pic.twitter.com/ceO4c5ufcg
まとめ
この記事のまとめ
- カクテルパーティー効果とは、自分に関係のあることは無意識に聞こうとする効果。
- カクテルパーティー効果で脳を鍛えるには、音楽や賑やかな場所で音を聞き分けると効果的。
- 恋愛に応用するには、相手の名前を意識的に呼んだり、興味がありそうなワードを使ったりすると◎。
- ビジネスやマーケティング、ブログに応用するには、ペルソナ(顧客や読者像)を絞ることが大切。
カクテルパーティー効果は、対人関係や相手の印象をも変える力がある効果。
ぜひ上記を参考に、自分の日常に取り入れることから始めてみてください。
ブログでも1つ1つの単語が読者を引き寄せる「キーワード」になります。
検索で引っ掛かるキーワードも大切ですが、ペルソナが反応するキーワードも意識していきましょう。
「聞くこと」(聴覚)に関するカクテルパーティー効果ですが、応用すれば「見ること」(視覚)にも使えます。
特にブログを運営する人には、この視覚に働く効果、使わない手はありません。
カクテルパーティー効果を上手く活用すれば、ターゲットの手を止めることができますよ。