りんメディアディレクター
カリギュラ効果とは?|ビジネス・恋愛・ブログでの応用術【悪用厳禁!】
※ この記事をお読みになる前に、注意事項があります。
【注意】これから先はカリギュラ効果の効き目が強いので、純粋な方は読まないでください。
…読みたくなりましたか?
見ないでと言われると、なんだか逆のことしたくなりますよね。
この時点であなたは、カリギュラ効果のワナにかかっています。
今回は、カリギュラ効果とは何かを、具体例や実験と共に解説。
また、カリギュラ効果を使って、相手の行動を促すテクニックも公開します。
勉強や、ビジネス・恋愛・ブログなどにも応用可能です。
恋愛ライター出身の私りんが、有効な”禁止法”を教えます!
この記事の監修者
ドム(工藤逸世)SEOコンサル&WPテーマ開発
㈱Woo代表。WordPressを魔改造してSEO戦争する人です。 WordPressプラグイン・テーマ「unify」開発者。 中央大学卒。元WEB系エンジニアでCMSやECサイト開発等をしてました。 2018年10月頃にブログ運営を開始。2020年独立し、2021年法人化。
カリギュラ効果とは
カリギュラ効果(カリギュラこうか)別名カリギュラ現象とは、禁止されるほどやってみたくなる心理現象のことをいう。
カリギュラ効果とは、禁止されると、逆にやってみたくなる心理現象のこと。
例えば、先ほどお話した以下の文章。
【注意】これから先はカリギュラ効果の効き目が強いので、純粋な方は読まないでください。 |
「見ないで」と閲覧を禁止することで、次の文が気になるように誘っていたんです。
また、タイトルの【悪用厳禁!】にも、実はカリギュラ効果があります。
ブログや広告などでも、【閲覧注意】【警告】などの言葉、よく目にしますよね。
ここで『なんで?』と疑問を持つことで、逆に知りたくなってしまうカリギュラ効果が働きます。
カリギュラ効果の由来
カリギュラ効果は、1980年に公開された映画「カリギュラ」に由来しています。
「カリギュラ」は、暴君として知られたローマ皇帝、カリグラをモデルに制作されました。
映画の内容は非常に過激。
残酷な処刑シーンや性的シーンが多すぎるため、アメリカのボストンでは「カリギュラ」の上映が禁止となりました。
この上映禁止が、転じて大ヒットのきっかけになったんです。
映画が見られないボストン市民は、かえって作品への好奇心が高まります。
ボストンで見られないなら…と、公開されている都市へ映画を見に行く人が続出。
連日、映画館から人が溢れるほどでした。
このことから、「禁止されると逆にやりたくなる」心理を、日本では「カリギュラ効果」と呼ぶようになりました。
ちなみにボストンでは、カリギュラのような”いかがわしい”作品を禁じていたため、「ボストンでは禁止(Banned in Boston)」という慣用句ができています。
カリギュラ効果の実験
カリギュラ効果は非常に面白い効果のため、これまで何度も検証実験が行われています。
貼り紙を使った実験
アメリカのテレビ番組でモニタリングされた実験です。
貼り紙を使った実験
- ある道中に、小さな穴を空けた壁を作る。
- 「覗かないでください」と書いた紙を、壁に貼る。
- 通行人の行動をモニターで観察する。
この結果、通行人の全員が壁の穴を覗いたんです。
実験としては異例の「100%」という結果が出たのは、貼り紙の効果が大きいと言えます。
ただ穴があるだけでは、覗かない人もいたでしょう。
まず、壁に貼り紙という珍しさで人々の注目を引き寄せています。
そして、「行動を禁止することで人々が逆に興味を示し、注意に反する」という、カリギュラ効果が現れる結果となりました。
子どもの遊びで検証した実験
この実験の被験者は、意思疎通ができる3歳から5歳の子どもたち。
子どもの遊びで検証した実験
- 子どもに5種類のおもちゃを渡し、遊ぶ中でどれが好きだったか順位を付けてもらう。
- 2番目に好きなおもちゃだけ、「遊んではダメ」と禁止する。
- 少し時間が経ってから、2番目に好きなおもちゃも使っていいことにする。
- もう一度好きなおもちゃの順位を付けてもらう。
この結果、どの子どもも、2番目だったおもちゃの順位が1番に変わりました。
遊びを禁止されたことによって、2番目に好きなおもちゃが気になり、順位が入れ替わったんです。
これらのカリギュラ効果の実験は、「思惑どおり」の結果が得られました。
このことから、相手の行動を禁止・制限することで、思いどおりの行動をしてもらえることも明らかとなりました。
カリギュラ効果はなぜ起こるのか
カリギュラ効果が起こる要因として、心理的リアクタンスというものがあります。
心理的リアクタンス( psychological reactance)は,個人が特定の自由(freedom)を侵害されたときに喚起される,自由回復を志向した動機的状態 (motivational state)である。
この心理的リアクタンスの論文では、日常生活に見られる例を用いて説明がなされています。
ある日曜日のN家のできごと
N氏はほとんどの日曜日を、麻雀に明け暮れて過ごしている。
夫人がN氏に対して皮肉や小言を言うも、全く効き目は無い。
そんな麻雀通いが続いていたある日曜日の朝、夫人はN氏に「今日は必ず麻雀をしに行ってくださいね。」「ホームパーティーをするので、家にいないでくださいね。」と声を掛けた。
すると、普段はすぐに出かけるN氏が、あれこれ理由をつけて家に居座った。
夫人たちのホームパーティーが始まると、大音量でテレビを視聴したり、日曜大工で音をまき散らしたりする。
N氏の予想外の行動に、夫人は当惑を隠しきれなかった。
N氏の行動は、麻雀に行くことを「強制」されたこと、家にいることを「禁止」されたことで、『自由が奪われた』と感じて抵抗した結果であると考察できます。
つまり心理的リアタンスは、自由を侵害された時に、それを回復しようと抵抗する心理のこと。
この心理的リアタンスとカリギュラ効果は、因果関係にあります。
心理的リアタンス(=動機)が起因となって、カリギュラ効果(=行動)が引き起こされるというわけです。
カリギュラ効果の具体例
上記で挙げたN氏のできごとのように、カリギュラ効果は日常生活のあらゆる場面に影響しています。
勉強
義務教育である以上、勉強って「しなきゃいけないもの」ですよね。
分かってはいるても、なんだかやる気が出ない。
そんな時に、母からのお決まりのセリフ…「勉強しなさい!」
これを言われて、つい怒ってしまった人も多いのではないでしょうか。
強制されたことで、反抗心が生まれた例です。
この勉強で起こるカリギュラ効果、自分で使うにはかなり有効的!
カリギュラ効果を勉強に応用するには、自分で禁止事項を作るのがグッド◎。
例えば、こんな感じ。
- 答えが分からなくても教科書は開かない
- 不安な教科を今日はやらない
勉強の中で自分が気になっていることを調べるのは禁止する。
勉強をしているうちに、禁止したことがさらに気になるようになっていきます。
すると、『これだけ…』と、だんだんと気持ちが緩んでしまうんです。
しかし、これこそがカリギュラ効果の有効活用。
禁止を破るちょっとした背徳感が集中力を高め、通常で勉強した時よりも頭に残りやすいんです。
ただ、禁止を破った結果が勉強をやめることでは、意味が無くなりますよ。
昔話
「この玉手箱は、決して開けてはなりません。」
浦島太郎が、乙姫様に言われたこの約束。
好奇心に負けて玉手箱を開けた浦島太郎は、一気にお爺さんになってしまいましたね。
これは単に我慢ができなかっただけでは無く、「開けてはいけない」という禁止が逆に欲を駆り立てたと言えます。
たとえ惚れ込んだ乙姫様との約束でも、カリギュラ効果の力には敵いませんでした。
(そもそも、なぜ玉手箱を渡したんだって話ですが)
同じように、「鶴の恩返し」「パンドラの箱」などにも、カリギュラ効果が見られます。
鶴の恩返し
禁止事項:「決して覗かないでください」
→つい覗いてしまい、鶴であることが発覚。
パンドラの箱
禁止事項:「開けてはならない」
→開けてしまったことで世界中に災いが起こる。
こうした昔話の展開は「見るなのタブー」と呼ばれ、多くの作品がカリギュラ効果を用いていることが分かります。
テレビCM
ドモホルンリンクル
再春館製薬所が販売している化粧品、ドモホルンリンクル。
「申し訳ありませんが、ドモホルンリンクルは、初めての方にはお売りできません。」
このCMのフレーズを、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
また、いざ購入しようとサイトを開き生年月日を入力すると、年齢によってはこんな注意書きが表示されます。
ドモホルンリンクルは30代からの年齢化粧品です。
大切なお肌につけるものですので、商品コンセプトをご理解の上、ご本人様のお申込みをいただいております。(ドモホルンリンクル公式サイトより引用)
10代、20代だと、この注意書きが出てくるようです。
『商品に納得して買って欲しい』という思いから、新規顧客には無料お試しセットを勧め、30歳以下の人には購入への注意喚起をするという徹底ぶり。
この制限があるからこそ、カリギュラ効果でより商品への期待値が高まり、購入する人が多いんです。
モンスト
この投稿をInstagramで見る
これはとっても分かりやすい例ですよね。
「絶対やるなよ!」と言われるから、カリギュラ効果でやりたくなってしまうんです。
これは上島竜平さんの名芸を、モンストバージョンにしたもの。
つまりあの芸は、「押すなよ!絶対押すなよ!」と言われたら押しちゃうという、カリギュラ効果の一連の流れがお決まりとなっています。
子育て
カリギュラ効果は、子どもには余計働きやすいんです。
特に、幼少の頃に訪れる「イヤイヤ期」が代表例。
「◯◯しちゃダメ」と言えば、「イヤ!」と返ってきちゃいます。
また、子どもは大きくなっても、反抗期や強い好奇心から「禁止と逆のこと」をしがち。
こんな時は「言葉の変換」をすればいいんです!
例えば、「走っちゃダメ!」なら、「歩いて行こう」と言い換えが可能。
「残さないで」食べて欲しいなら、「全部食べたらカッコいいよ」と伝えればいいんです。
禁止をやめて提案をすれば、ポジティブな理由で行動を促すことができます。
それから、「◯◯をしたらどうなるか」という、禁止である「理由」を伝えることも大切。
上の例で言えば、「走っている時に転んでケガをしたら、痛いし遊べなくなっちゃうよね」などと、予測できる結果を言葉で教えます。
この「禁止の理由」が、カリギュラ効果の応用でのポイント。
子育てだけではなく、これから紹介するビジネス・マーケティング・恋愛・ブログへの応用でも重要になってきます。
次の項目で、詳しく見ていきましょう。
カリギュラ効果を応用するには
カリギュラ効果を上手く使えば人の行動を促せる、とお伝えしてきました。
しかし、カリギュラ効果が必ずしも狙いどおりに働くとはかぎりません。
応用する上での注意点や、有効な活用法を知っておきましょう。
カリギュラ効果の注意点
応用する上での注意点は、以下の通り。
- 禁止の理由を必ず伝える
- 禁止と結果が対になることに注意する
- 反発を誘えなければ無意味になる
①禁止の理由を必ず伝える
なぜこれが重要かと言うと、ただ禁止されただけでは素直に応じてしまう人がいるからです。
日本人は真面目、とよく言われますよね。
禁止だけのパターンと、理由を加えたパターンを見比べてみましょう。
「このチョコレート、あなたは食べられないからね」 |
「このチョコレート、とっても口溶けが良くて大人気だから、あなたの分まで買えなかったの」 |
どちらが食べたくなりますか?
前者だと、『なんで?』とは思うかもしれませんが、『食べたい!』という強い欲求には至らない人もいるでしょう。
理由がある後者の方が興味を引きやすく、カリギュラ効果に繋がります。
②禁止と結果が対になることに注意する
先ほどのチョコレートの例で言うと、こうなります。
【禁止】チョコレートを食べられない ⇔ 【結果】食べたくなる
つまり、相手にしてほしいことが結果になるように、対になる禁止を設定しなければなりません。
例えば、上記の例で「チョコレートを本当に食べて欲しくない」場合、この禁止の仕方では逆効果が生まれます。
「(自分が)して欲しいこと⇔(相手の)行動」の対になる関係をしっかりと見極めて、禁止を設定しましょう。
③反発を誘えなければ無意味になる
カリギュラ効果を狙うには、「逆のことをしたくなる=反発」を誘うことが重要でした。
この反発を誘うには、禁止の強度を考えること!
①のように、ただ禁止するだけでは反発する理由が無くなり、カリギュラ効果は期待できません。
また、例えば「食べたら夕飯無しだから」などと、禁止が強すぎるのもNG。
かえって反発”できない”で終わってしまいます。
あくまで「相手を誘う」という意識で、適度な禁止の強さにすることが大切です。
ビジネス・マーケティングに活用する方法
ビジネス・マーケティングでは、顧客へのオファー(訴求)に有効です。
例えば、先ほどのチョコレートの例を、「販売したい場合」で考えてみましょう。
まず、多くの人がやっているオファー。
このチョコレートは、口溶けが最高なんです。
多くの方がリピート買いしている、大人気商品。 ぜひご購入ください。 |
プレゼンすることは大事なんですが、言葉だけではどうしても想像しきれない部分があります。
購入の前には、買うor買わないの取捨選択がどうしてもつきもの。
金額やレビューと比較して、要らないという判断をする人もいるでしょう。
「『買って試さなければ』という気持ちにさせる」
これが、取捨選択の壁を突破するポイントです。
そこで、カリギュラ効果を使った禁止で、顧客の行動を誘います。
カリギュラ効果を使った禁止の例
このチョコレートは大変ご好評をいただいており、販売数に限りがございます。
そのため、本当にチョコレートが好きな人にしかお売りできません。
また、なめらかな口溶けが特徴なので、固い食感が好みの方には正直不向きです。
あなただけの至福のひと時を味わっていただきたい…そんな特別なチョコレートです。
このように、あえて禁止と制限を加えた訴求をすることで、興味と購買欲を引き立てることができます。
恋愛に活用する方法
恋愛では、相手との駆け引きに使えます。
ただし、これを読むと「わざと」自分の思いどおりにできちゃうので、小悪魔的な駆け引きになる可能性も…。
相手を翻弄してみたい人だけ、お読みください。(カリギュラ効果をちゃっかり活用)
恋愛をしていると、段階を意識しますよね。
(『手を繋ぐ』『お家デートをする』などなど…。)
例えば、デート終わりに「家来ない?」と相手から提案された時。
すぐにYESを出すよりもあえてNOを見せる方がいいんです。
これはちょっと女性向きの返答になりますが、こんな感じ。
「すっぴん見られるの恥ずかしいから…」
「可愛いパジャマ持ってくるから、来週ね」
これ言われると、『それでもいい』っていう気持ちで、余計一緒にいたくなります。
たとえ本当にNOで持ち越しになっても、相手は次会う時まであなたのことで頭がいっぱいです。
男性なら、ちょっと攻めてますが、こんな感じ。
「俺のこと家に呼んだら寝れなくなるかもよ」
言葉に含みを持たせると、女性は気になってドキッとします。
つまり、YESなことをあえてNOに見せると、相手を焦らせて◎です。
ブログに活用する方法
ブログでの使いどころは3つ。
- 冒頭文
- 見出しの直前
- 訴求する時
それぞれ例と共に解説していきます。
①冒頭文
例
男性以外は、絶対に見ないでください。
1つ目は、女性も見たくなること。これには2つの効果が期待できます。
2つ目は、男性が特別感を感じることです。
制限と禁止が合わさり、結果的に誰もが見たくなります。
②見出しの直前
例
×××については、次で解説します。
##見出し
テレビ番組で言う、「続きはCMのあとで」みたいなやつです。
SEOコンサル&WPテーマ開発
ドム(工藤逸世)のコメント
実は私自身もこれを使ってます。
直前に制限をかけられることで、読者は次の見出しを見ずにはいられなくなります。
③訴求する時
例
×××な人は絶対買わない方がいい。
逆に、YYYな方はめっちゃ合ってる。
購入する人や数量を限定的にすることで、売れるようになります。
ビジネス・マーケティングに応用する方法でもお話しましたね。
SEOコンサル&WPテーマ開発
ドム(工藤逸世)のコメント
ブログに活用する方法は私のツイートでサクッと判ります。
【ブログで使える心理学:カリギュラ効果】
僕これ、超使ってます。限定することで読者を絞れるし、
反発狙って読まれる事も想定できるし。#ブログ初心者 pic.twitter.com/s3FewYipr0— ドム@SEOとunify開発の人 (@domblog_jp) March 2, 2021
この他にもブログに使える心理学を発信中。
ノートに付箋を貼るみたいに、要点として抑えておくとすぐ使えます。
いずれこの記事のシリーズで、さらに詳しく解説していく予定です。
まとめ
この記事のまとめ
- カリギュラ効果とは、禁止されると逆にやりたくなってしまう心理効果。
- カリギュラ効果を使う時は、①禁止の理由を必ず伝えること、②禁止と結果が対になること、③反発を誘えなければ無意味になることの3つに注意する。
- ビジネス・マーケティング・恋愛に応用するには、禁止や制限を加えたり、あえてNOを見せたりすると◎。
- ブログに応用するには、冒頭文、見出しの直前、訴求の時に使うと効果的。
カリギュラ効果は、相手の行動を促すことができる非常に便利な効果。
ただし、絶対に思い通りの行動を取ってもらえるとは限りません。
上記の注意点や活用法を意識して、「相手の欲求がどこに向くか」を見極めることが大切です。
特に、ブログなどのWEB媒体では、文章で仕掛けるテクニックが必要。
これには、記事ごとにペルソナ(読者像)を想定することが不可欠です。
カリギュラ効果を応用して、まずは読者の「読みたい」を引き出していきましょう!